膝のお皿が痛む:有痛性分裂膝蓋骨
有痛性分裂膝蓋骨(ゆうつうせいぶんれつしつがいこつ)
■ どのような障害か
運動中や運動後に膝のお皿(膝蓋 骨)のやや外側上方がジンジンと痛む障害です。転倒などで膝を床や地面に強くぶつけた事がきっかけとなり痛みが出る場合もあります。成長期(10~17 歳)の男性に多いのが特徴です。膝蓋骨の隆起(盛り上がり)を認めることがあり、押すと痛みます。
■ なぜ起こるのか
分 裂膝蓋骨とは、正常ではひとつの骨である膝蓋骨が2つ以上に分裂しているものをいいます。 無症状の場合も多く、X線検査により偶然発見されることもあります。痛みを伴う分裂膝蓋骨を特に有痛性分裂膝蓋骨と呼びます。分裂のタイプには数種類あり ますが、膝蓋骨の外側上方に分裂があるⅢ型と呼ばれるタイプがそのほとんどを占めます。分裂膝蓋骨の人のうち、約40%の人は両膝に分裂があると言われて います。
分裂膝蓋骨の発生は、膝蓋骨の成長過程での癒合(ゆごう)不全であるという説と、成長期の激しい運動により、膝蓋骨に何度も繰り返し負荷が加わることで疲労骨折のような現象が起き、分裂してしまうという説がありますが、未だ原因は解明されていません。
■ どうしたら治るのか
太もも前面の筋肉(大腿四頭筋群)の固さをとるためのストレッチングや、膝周囲の筋力トレーニングを行うと同時に、分裂部に負担をかけない膝の使い方を習得します。冷湿布剤の使用や運動後のアイシング、お風呂で患部をよく温めることも効果的です。
痛みが強い場合には運動を一時休止し、安静を保ちます。分裂部周囲にステロイドと局所麻酔薬を注射すると痛みが軽快することがあります。
リハビリテーションを主体とした保存治療で良い結果が得られないような難治例には、分裂骨片の摘出や分裂部をくっ付ける手術を行うことがあります。